背景
- そもそも自分や他人の「先入観」「偏見」「思い込み」「誤解」を把握して、改善したい
- そのための具体的なアプローチとして「認知バイアス」という心理学の考え方がある
- 多種多様な認知バイアスのうち、データ分析業務に関連する認知バイアス本が2023年に出版されたのでざっくり要約
概要
Amazon.co.jp: データ分析に必須の知識・考え方 認知バイアス入門 分析の全工程に発生するバイアス その背景・対処法まで完全網羅 eBook : 山田典一: Kindle Store
内容:
- バイアス (bias) とは 「偏り」を意味する言葉
- 認知バイアス (cognitive bias) は心理学の世界で発見された心理現象
- 「 『理想的な思考』 から遠ざける 『無意識の心の偏り』」のこと
- 認知バイアス、社会的バイアス、統計的バイアスの概念と、分析における影響
- 分析者向けに特化した認知バイアスの解説 (200種類近くあるうちの分析に影響を与えるもの)
- 認知バイアスに対処するための方法
重要ポイント:
- 既存の認知バイアスに関する書籍は、分析者向けではなく一般向けに書かれていることが多い
- 本書は、分析者にとって必須の「分析バイアス学」という新しい知識体系を構築
- データ分析者にとって必読の教科書
分析者にとっての本書の重要性:
- 分析における認知バイアスの影響を理解できる
- 認知バイアスを克服し、より客観的な分析結果を得られる
- 分析スキルを向上させることができる
- 分析におけるバイアスの影響を受けにくい分析手法を身につけることができる
本書の特徴:
対象読者:
- データ分析者
- 分析結果に偏りを感じている人
本書が分析者に役立つ理由:
この本から得られる具体的な知識・スキル:
- 200種類近くある認知バイアスのうち、分析に影響を与える主要なバイアスを理解できる
- 各バイアスの特徴、具体的な影響、分析における注意点、対処法を理解できる
- 認知バイアスの影響を受けにくい分析手法を身につけることができる
- 分析結果の信頼性を高め、より客観的な意思決定を行うことができる
その他:
- 本書は、統計学などの知識がなくても読み進めて頂けるように、複雑な数式は一切使わずに解説しています。
- 既に統計的知識をお持ちの方々には、従来ほとんど注目されてこなかった「認知バイアスとその他バイアスとの関連性」を一目で理解してもらえるように、豊富な図版を用いてお伝えしています。
目次
- 第1章 分析者にとっての認知バイアス―複雑な世界と繋がり続けるための認知の癖を知る
- 第2章 統計的バイアスの基礎―認知の癖に起因する統計的バイアスへの対処法
- 第3章 機械学習とバイアス―私たちの外側にある推論マシーンとの向き合い方
- 第4章 記憶由来のバイアスの罠―風呂場で死ぬより、コロナで死ぬことを恐れる理由
- 第5章 認識由来のバイアスの罠―認識時に重視される「正確さ」以外の基準を知る
- 第6章 判断由来のバイアスの罠―物事を「自分と切り離して」分析し判断する難しさ
- 第7章 因果関係の錯覚への対応―科学的な因果関係の4つの認定基準を知る
- 第8章 ケーススタディ―分析の流れの中でバイアスへの対処法を学ぶ
要点
第1章 分析者にとっての認知バイアス―複雑な世界と繋がり続けるための認知の癖を知る
1.1 分析者にとっての認知バイアス
1.1 のまとめ
- 本書では、 「認知バイアス」 「社会的バイアス」「統計的バイアス」を取り上げる。
- 認知バイアスは、私たちを 「理想的な思考」 から遠ざけるように作用する。
- 認知バイアスによって分析結果の信頼性が低下する恐れがある。
- 一流の科学者や分析熟練者でも、 認知バイアスの影響からは逃れられない。
1.2 認知の働きを理解する
1.2 のまとめ
- 認知には、 記憶・認識・判断の3つの働きがある。
- 認知の働きごとにある癖が、 私たちを 「理想的な思考」 から遠ざける。
- 記憶は物事の印象深さに左右されやすく、 その客観的評価には向かない。
- 私たちには、たった1つの結論 (カテゴリー) に飛びつくように物事を認識する癖がある。
- 私たちは総じて 「確率的な推論」 を苦手としている。
1.3 認知バイアスの起源を知る
1.3 のまとめ - 私たちの思考には、 タイプ1とタイプ2の2種類の思考が存在する。 - ヒューリスティックを多用するタイプ1はバイアスを生じやすい。 - バイアスの軽減には、 タイプ2をタイプ1の監視役として賢く使う必要がある。 - タイプ1は、 疲労やストレス状態で働きやすくなることに注意する。
1.4 各種バイアスの起源と特徴を知る
1.4 のまとめ
- バイアスの起源には、 先天的なものと後天的なものの2種類が存在する。
- 統計的バイアスも認知バイアスの影響を受けて発生することがある。
- 社会的バイアスは日々の生活の中で暗黙的に受け継がれていく。
1.5 失敗の歴史から分析の役割を再考する
1.5 のまとめ
- 認知バイアスは集団レベルの判断にも影響を与える。
- 社会的な要請やプレッシャーが存在すると、 判断を誤りやすくなる。
- 自分たちに都合よく情報を解釈させる確証バイアスには注意が必要。
- 分析者個人の認知バイアスへの対処が、 分析を思考の安全装置とする第一歩となる。
第2章 統計的バイアスの基礎―認知の癖に起因する統計的バイアスへの対処法
第3章 機械学習とバイアス―私たちの外側にある推論マシーンとの向き合い方
第4章 記憶由来のバイアスの罠―風呂場で死ぬより、コロナで死ぬことを恐れる理由
第5章 認識由来のバイアスの罠―認識時に重視される「正確さ」以外の基準を知る
第6章 判断由来のバイアスの罠―物事を「自分と切り離して」分析し判断する難しさ
第7章 因果関係の錯覚への対応―科学的な因果関係の4つの認定基準を知る
第8章 ケーススタディ―分析の流れの中でバイアスへの対処法を学ぶ
補足
- これだけ網羅しても、人間は有限の認知資源しかないので、認知バイアスを完全に排除はできない
セルフチェックしつつ、他者からのダブルチェックを実施することで、少しはマシになる
本書以外の認知バイアスをさらに知りたい場合は以下参考
Amazon.co.jp: 情報を正しく選択するための認知バイアス事典 eBook : 情報文化研究所, 高橋昌一郎: Kindle Store
Amazon.co.jp: 情報を正しく選択するための認知バイアス事典 行動経済学・統計学・情報学 編 eBook : 情報文化研究所, 高橋昌一郎: Kindle Store