正味所要量(Net Requirements)の基礎知識
概要と特徴
- 定義
生産計画において、総所要量(Gross Requirements)から現在の在庫や入庫予定を差し引いた、真に不足している必要数量。
- 役割
資材所要量計画(MRP: Material Requirements Planning)の核となる計算工程。過剰在庫の防止と欠品の回避を両立させる指標。
- 算出のタイミング
基準生産計画(MPS)の確定後、部品構成表(BOM)に基づいて展開される過程で算出。
分類
- 確定正味所要量
受注確定分や確定した製造指示に基づく、確実性の高い不足分。
- 予測正味所要量
需要予測(Forecast)に基づき算出された、将来発生する可能性のある不足分。
上位概念・下位概念
- 上位概念
資材所要量計画(MRP: Material Requirements Planning)、在庫管理(Inventory Management)。
- 下位概念
ロットまとめ(Lot Sizing)、発注時期の決定(Time Phasing)。
メリット
- 在庫コストの低減
必要な分だけを調達・製造するため、デッド在庫の発生を抑制。
- キャッシュフローの改善
資材の過剰な先送りを防ぎ、資金効率を向上。
- 生産スケジュールの最適化
正確な不足分を把握することで、無理のない製造ラインの稼働計画を立案。
デメリット
- データ精度の依存性
在庫数や入庫予定のデータに誤りがある場合、算出結果の信頼性が消失。
- 変動への脆弱性
急激な需要変動やリードタイムの遅延が発生した際、計算のやり直しが必要。
既存との比較
- 総所要量(Gross Requirements)との比較
総所要量は在庫を考慮しない「単純な必要量」であるのに対し、正味所要量は「実質的な不足量」。
- 定量発注方式との比較
在庫が一定水準を下回った際に発注する方式に対し、正味所要量は将来の計画から逆算する動的な管理。
導入ポイント
- 在庫情報のリアルタイム化
棚卸精度を高め、論理在庫と実在庫の乖離を最小限に保持。
- 部品構成表(BOM)の整備
製品一台あたりに必要な部品個数と親子の階層関係を正確に登録。
注意点
- 安全在庫(Safety Stock)の扱い
欠品リスク回避のため、正味所要量算出時にあらかじめ安全在庫分を加算して計算する必要性。
- リードタイム(Lead Time)の考慮
正味所要量が判明しても、納入までの期間を考慮しなければ生産開始に間に合わないリスク。
計算式
正味所要量 = 総所要量 - (現在庫量 + 入庫予定量) + 安全在庫量
今後
- AIによる予測精度の向上
需要予測にAIを活用し、正味所要量の算出精度をさらに高める動き。
- リアルタイムMRPの普及
インメモリデータベースの活用により、変動が発生した瞬間に正味所要量を再計算する仕組みの導入。
関連キーワード
- 総所要量(Gross Requirements)
- 部品構成表(BOM: Bill of Materials)
- 基準生産計画(MPS: Master Production Schedule)
- 安全在庫(Safety Stock)
- リードタイム(Lead Time)
- 注文方針(Lot Sizing Policy)